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近藤 啓悦; 三輪 幸夫; 塚田 隆; 山下 真一郎; 西野入 賢治
Journal of ASTM International (Internet), 7(1), p.220 - 237, 2010/01
軽水炉内構造材料であるオーステナイト系ステンレス鋼の照射誘起応力腐食割れ機構解明のため、中性子照射したステンレス鋼に特有な変形機構となる転位チャネリングが、材料のマクロな塑性変形挙動に及ぼす影響について詳細な検討を行った。照射したステンレス鋼は延性が低下し加工硬化指数が減少することが報告されている。しかし、中性子照射材の引張試験における真応力-真ひずみ曲線を解析すると、照射によって降伏応力は増加するが加工硬化指数は照射前後で変化することはなかった。同様なマクロ特性の変化は非照射温間加工材においても見られた。一方で、塑性不安定開始直前のミクロ組織を観察した結果、照射材では転位チャンネル構造,非照射材においては転位セル構造であることがわかった。加工硬化は材料中を動く転位同士の切り合いが重要な因子であるが、この異なるミクロ組織であっても転位同士が互いの運動の抵抗になるミクロ変形機構には変化がなかったことが、加工硬化挙動が照射前後で変化しなかった原因であると考えられた。
西山 裕孝; 山口 正剛; 鬼沢 邦雄; 岩瀬 彰宏*; 松澤 寛*
Journal of ASTM International (Internet), 6(7), 8 Pages, 2009/07
日本の原子炉圧力容器鋼における不純物含有量を有するA533B鋼について、粒界偏析とその脆化、すなわち延性脆性遷移温度(DBTT)について調べた。中性子照射は、材料試験炉により、照射温度563Kで、中性子照射量が1.310n/m(E1MeV)まで行った。中性子照射によって、粒界におけるリン(P),ニッケル(Ni)の濃度上昇と、炭素(C)の濃度低下が生じた。中性子照射による粒界におけるP濃度の上昇は、Pの含有率が0.02wt.%未満の場合、高中性子照射量領域(510n/m)でも、15%未満であることがわかった。このような粒界におけるP濃度の増加、あるいは、粒界の強度を低下させてCの濃度低下は、粒界脆化への影響はほとんどなく、DBTTの上昇は照射硬化によるものであることを明らかにした。